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21世紀に入ってバイオテクノロジー応用医薬品(バイオ医薬品)の開発が加速しており,わが国の新薬の約20%がバイオ医薬品で占められるようになってきている。また世界的には新薬の約30%がバイオ医薬品になり,有用な医薬品に占めるバイオの役割はますます増大してきている。このようなバイオ医薬品開発の拡大の大きな要因はモノクローナル抗体医薬品(抗体医薬品)や改変タンパク質医薬品の開発が急速に進んでいることによると考えられる。抗体医薬品の開発では,創薬対象となる抗体の認識分子と目的としている臨床効果とが関連付けやすいという特徴を持ち,かつ抗体の作用機序が比較的明確であることなどにより,化学薬品に比べ治験に入ってからのドロップアウト率が低いことから,抗体医薬品開発におけるリスクが相対的に低いとされ,開発のモチベーションが高くなっているといわれている。さらに,抗体の持つ血中での長い半減期の利用等を目的とした,抗体のFc部分との融合タンパク質医薬品の開発も活発化している。このようにバイオ医薬品開発の活発化,抗体医薬品や改変タンパク質医薬品開発の進展など,バイオ医薬品の開発動向が大きく変わってきている。このような新たな潮流は,ヨーロッパ医薬品庁(EMEA)や米国食品医薬品局(FDA)でオーファンドラックとしての指定を受け開発が進められているバイオ医薬品の中に占める抗体医薬品の比率の高さから見ても,今後も続いていくものと考えられる。おそらく,2010年の後半には,抗体医薬品が新薬の30%を占めると予測されている。では,バイオ医薬品の新たな潮流に対して,従来のバイオ医薬品と異なる視点が必要かどうか,さらには規制面ではどのような変化が現れてくるかという問題がある。本書では,これまでのバイオ医薬品の規制について振り返るとともに,バイオ医薬品の開発のウエイトが抗体医薬品や改変タンパク質医薬品へと変わりつつある現状をどのように捉え,医薬品承認申請さらには開発初期のバイオ医薬品の安全性確保などの観点から議論している。今後の更なる発展の一助となれば幸甚である。 (「バイオ医薬品開発の新たな潮流」より抜粋) 2010年4月国立医薬品食品衛生研究所山口照英
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出版社からのコメント
21世紀に入ってバイオテクノロジー応用医薬品(バイオ医薬品)の開発が加速しており,わが国の新薬の約20%がバイオ医薬品で占められるようになってきている。また世界的には新薬の約30%がバイオ医薬品になり,有用な医薬品に占めるバイオの役割はますます増大してきている。このようなバイオ医薬品開発の拡大の大きな要因はモノクローナル抗体医薬品(抗体医薬品)や改変タンパク質医薬品の開発が急速に進んでいることによると考えられる。抗体医薬品の開発では,創薬対象となる抗体の認識分子と目的としている臨床効果とが関連付けやすいという特徴を持ち,かつ抗体の作用機序が比較的明確であることなどにより,化学薬品に比べ治験に入ってからのドロップアウト率が低いことから,抗体医薬品開発におけるリスクが相対的に低いとされ,開発のモチベーションが高くなっているといわれている。さらに,抗体の持つ血中での長い半減期の利用等を目的とした,抗体のFc部分との融合タンパク質医薬品の開発も活発化している。このようにバイオ医薬品開発の活発化,抗体医薬品や改変タンパク質医薬品開発の進展など,バイオ医薬品の開発動向が大きく変わってきている。このような新たな潮流は,ヨーロッパ医薬品庁(EMEA)や米国食品医薬品局(FDA)でオーファンドラックとしての指定を受け開発が進められているバイオ医薬品の中に占める抗体医薬品の比率の高さから見ても,今後も続いていくものと考えられる。おそらく,2010年の後半には,抗体医薬品が新薬の30%を占めると予測されている。では,バイオ医薬品の新たな潮流に対して,従来のバイオ医薬品と異なる視点が必要かどうか,さらには規制面ではどのような変化が現れてくるかという問題がある。本書では,これまでのバイオ医薬品の規制について振り返るとともに,バイオ医薬品の開発のウエイトが抗体医薬品や改変タンパク質医薬品へと変わりつつある現状をどのように捉え,医薬品承認申請さらには開発初期のバイオ医薬品の安全性確保などの観点から議論している。今後の更なる発展の一助となれば幸甚である。 (「バイオ医薬品開発の新たな潮流」より抜粋) 2010年4月国立医薬品食品衛生研究所山口照英